2020-01-01から1年間の記事一覧
しばらく宇津保物語の話が続いています。 読んでてちょっと目が点になったのが、朱雀帝とか朱雀院と呼ばれるみかどの変な妄想癖。 覗き趣味的妄想癖 とでも言いましょうか。 「内侍のかみ」という巻は朱雀帝(在位中)を中心に話が進むのですが、まずはのっけ…
うつぼ物語人物関係図整理がてら系図を作っていたら、文字だらけで見づらくなった…ちなみに系図はgoogleスプレッドシートで作りました(笑)
うつほ物語(宇津保物語)でびっくりしたのは、貴人や女性も下ネタを平気で口にすること。全員が全員ぽんぽん言うわけでもないですが… 主人公仲忠の父、藤原兼雅は、除目で昇進できなかった時に、妻や子に文句たらたらいう中で、源正頼は娘の仁寿殿女御や東宮…
うつほ物語(宇津保物語)の話、第三弾。 うつほ物語は、すごく大雑把に言って、藤原仲忠を主人公とする話と、源正頼の女のあて宮の話との2つの流れがあります。あて宮の話はちらちらと述べたように、絶世の美女である彼女への恋に多くの求婚者たちが身を焦が…
宇津保物語の女達は妙に強い、という話のつづき。 女達…といっても、特に強いのは、源正頼という登場人物の娘たちなんですが… たとえば、気に入らないことがあると実家に帰って、夫が懇願しても戻って来ない。ヒロインのあて宮も夫の東宮に対して散々にそれ…
さて、ジャパンナレッジでだらだら古典文学を読んでいて、何度か挫折してた「うつほ物語」にチャレンジしています。 この「うつほ物語」、最初の「俊蔭」を読んで「ああこういう伝奇的な話なのね」と思ってると大間違い。ひとつの物語なのに作風がバラバラ(…
万葉集って、王朝時代以降に比べて野趣に富むリズム感があるように思います。そう感じるのも、ある意味現代的な感覚なのかも知れないけれど。 最近いいなと思ったのは、万葉集698 大伴宿禰像見の歌 春日野に朝居る雲のしくしくに 我(あ)は恋増さる月に日に異…
ときどき、この前買った万葉集の文庫本をぱらぱら見ています。それで目についた歌など。 万葉集巻四(相聞)、大伴宿禰家持、交遊(とも)と別るる歌三首 けだしくも人の中言聞(きこ)せかも ここだく待てど君が来まさぬ(680) おそらく、人の中傷をお聞きにな…
髭黒夫婦と夕霧夫婦の決定的な違い:結局よりを戻したということ 雲居雁と髭黒北の方のシチュエーションが似ている…という話をしたのですが、一方で、髭黒北の方は夫と完全に離婚してしまい、雲居雁は結局よりを戻した…というところが決定的に違うわけです。…
紫の上のことをあれこれ考えていて、女三宮降嫁後の彼女の失望はどこまでが愛情ゆえでどこまでがプライドゆえのものだったのだろうとか、体面とかプライドとか矜持とか、そういうものを「愛情問題」とは別に扱うとしたら、まずは平安貴族にとっての体面がど…
ブックオフでぶらぶらしていて、たまたま「万葉集 対訳古典シリーズ 桜井満訳注/旺文社」の上巻が100円で置いてあったので、「そういえば文庫本の万葉集はもってないなあ」と思って手にとってパラパラとめくったら目についた歌が 長皇子、皇弟(いろと)に与ふ…
別に古典で下ネタ話ばっかり探して読んでるわけではないんですが、ついつい目が止まってしまったりはします。 宇治拾遺物語、巻四の8に、面白い話を見つけました。 進命婦(源祇子)という女房がいて、その人は清水寺にいつもお参りしていました。彼女の師は…
さて、いざ女三宮降嫁後の紫の上の心境です。 対の上も、ことに触れてただにも思されぬ世のありさまなり。 げに、かかるにつけて、こよなく人に劣り消たるることもあるまじけれど、また並ぶ人なくならひたまひて、はなやかに生ひ先遠く、あなづりにくきけは…
源氏物語に描かれた、「夫が新しい妻を作り、元からの妻が、夫が新しい妻の元へ出かけていくのを見送る」という場面。 最初に描かれたのは、紫の上の異母姉、式部卿宮の長女と髭黒大将との場面でした。 結局、式部卿宮邸に引き取られた北の方は髭黒大将とは…
日本の三大物語って、源氏物語と狭衣物語とうつぼ物語だとか聞きました。 このうち狭衣物語は、私は最近になって始めて読んだんですよ。 んで、あまり若いうちに読まなくて良かったとしみじみ思った。若いうちに読んでたら、腹が立って本を破きたくなったか…
息抜き?じゃないけど、自分語り的な。このブログも源氏物語について語る率がすごく高いわけですが、いつも人物をどう呼ぶかというので迷いがあったりします。 光源氏や紫の上は、原典でも使われている呼び名なので違和感もさほどないし、六条御息所とかも、…
源氏物語には、夫が新しい妻を作り、元からの妻が、夫が新しい妻の元へ出かけていくのを見送る…という場面が何度か描かれています。それも、決して「愛人」の元へ出かけて行くというわけではなく、「新しい妻」なのです。元からの妻も、同居して夫の衣食住の…
前の続きで、誇りが傷ついたが故に怨霊化した六条御息所が、最後に女三宮に取り憑いたのはなぜか、そして女三宮を出家させて満足したかのように「もう帰ろう」と姿を消したのはなぜか…ということを、改めて考えてみます。 女三宮の出家は、光源氏にとってど…
ちょっと息抜き記事。 ほら、源氏物語って、契りを結ぶ(上品な表現にしてみた)場面って直接的には描写しないじゃないですか。それで、読んでてとまどうことがちょくちょくありませんか。 最近、どこでだったかな…昔は光源氏は空蝉と契ったのかということに…
さて、源氏物語の話。六条御息所が死霊となった後、彼女が何にこだわって祟ったのか…ということを考えてみようと思います。 六条さん怨霊版が出てくるのは、若菜下巻。六条院(源氏)の妻たちと娘の明石女御とで催した女楽が終わった後、源氏が女三宮のもと…
もいっちょ小ネタ。つか下ネタ。 宇治拾遺物語巻一の十一「源大納言雅俊 一生不犯(ふぼん)の鐘打たせたる事」より。 これ、きっと一部で有名な段だったりするんじゃないかな~って思うんですけど。もう、全文引用してしまおう。 これも今は昔、京極の源大…
なんか源氏物語の話を始めるとそればかりになってしまうので、息抜きに、たまたま昨日拾い読みをしていた今昔物語でちょっと面白い話があったので、その話を。なお、文中の今昔物語は「今昔物語集・新編日本古典文学全集 巻十九/小学館」より。 むかし、三条…
「賢木」の巻というのは、六条御息所との野の宮の別れが描かれているという印象も強いですが、実はそれだけでなく、それまでの光源氏の恋愛沙汰が総括へ向かっているような話がこまごま描かれている巻だったりします。 「賢木」にて、父桐壺院が病気でなかな…
今回は、光源氏と六条御息所との別れから、その後御息所が亡くなるまでの、六条御息所の心理を追ってみようと思います。 賢木~野の宮での別れ さて、いよいよ六条御息所が、源氏との仲を諦めて伊勢に下ることにした後。源氏は「つらき者に思ひ果てたまひな…
源氏物語で嫉妬というと六条御息所、って感じですね。嫉妬のあまり生霊になり、かつ死霊としても彷徨ってしまったという彼女。 とりあえず、六条御息所と光源氏の関係について、原典での描写を拾ってみます。 夕顔 原典では、まず夕顔の巻の冒頭に「六条わた…
光源氏が、紫の上の嫉妬については「そういうところが可愛い」的にプラス評価をしていた…ということを書きました。 しかし、光源氏は、他の女たちの嫉妬についてはどう考えていたのか?について。 大殿の上(葵の上)と六条御息所について、嫉妬に関する記述…
紫の上と雲居雁の共通要素、その3! 8,嫉妬深いところが愛嬌である、と描かれていること 紫の上については、「澪標」で明石の女の話を光源氏が紫の上に語る場面で、紫の上が不愉快さを隠せないでいるあたりの場面。 いとおほどかにうつくしうたをやぎたまへ…
源氏物語、雲居雁と紫の上には共通点が多い…という話のつづきだよ。 6.男女のことをそんなによく分かっていない無邪気なうちに、男と関係を持つに至ったこと これはま~なんていうか、当たり前っていうか。高貴な姫君だもん、無邪気じゃなきゃいけないんです…
前回、 紫式部が、「高貴な姫君だけれど、親ではなく自分で好きになった相手と、合意の上で関係を持つことで恋愛が始まる」というなかなか王朝物語の姫君では成り立ちにくいシチュエーションを、細かい設定を積み重ねることによって成り立たせて、その上でで…
いや…雲居の雁と夕霧の夫婦喧嘩のあたりを見返してて、どうしてもツッコミたくなったってだけなんですが。突っ込みたい部分のちょっと前の場面から「夕霧」の巻をみていくと。 夕霧が落葉宮相手に浮気騒動を起こし、浮気された雲居の雁はもちろんとして、落…