ふること

多分、古典文学について語ります

古典から下ネタ話を探してみた。その2

もいっちょ小ネタ。つか下ネタ。

宇治拾遺物語巻一の十一「源大納言雅俊 一生不犯(ふぼん)の鐘打たせたる事」より。

これ、きっと一部で有名な段だったりするんじゃないかな~って思うんですけど。
もう、全文引用してしまおう。

これも今は昔、京極の源大納言雅俊といふ人おはしけり。仏事をせられけるに、仏前にて僧に鐘を打たせて、一生不犯なるを選びて講を行はれけるに、ある僧の礼盤(らいばん)に上りて、少し顔気色違ひたるやうになりて、橦木(しもく)を取りて振りまはして打ちもやらでしばしばかりありければ、大納言いかにと思はれける程に、やや久しく物もいはでありければ、人どもおぼつかなく思ひける程に、この僧わななきたる声にて「かはつるみはいかが候ふべき」といひたるに、諸人頤(おとがひ)を放ちて笑ひたるに、一人の侍ありて「かはつるみはいくつばかりにて候ひしぞ」と問ひたるに、この僧、首をひねりて「きと夜部(よべ)もして候ひき」といふに、大方とよみあへり。その紛れに早う逃げにけりとぞ。

これも今は昔の話となったが、京極の源大納言雅俊という方がいらっしゃった。仏事をなさった時に、仏前で僧に鐘を打たせて、一生不犯(生涯淫戒を犯さないこと)である僧を選んで法会を行われたところ、ある僧が高座に上って、少し顔が正常ではない様子になって、橦木(鐘を打つための小棒)を取って振り回し、打ちもしないでしばらくそうしていたので、大納言が一体どうしたのだとお思いになっているうちに、長いこと物も言わないでいたので、人々も不審に思っていたところ、この僧が震え声で「かはつるみはいかがでございましょうか」と言ったので、皆は顎を外しそうになるほど笑った。一人の侍がいて、「かはつるみはどれぐらいなさったのですか」と質問したところ、この僧は、首をひねって「ちょっと昨夜もいたしました」と答えたので、一座はどよめくように笑った。それに紛れて、僧はさっさと逃げてしまったということだ。

源大納言雅俊というおえらいさんがいて、仏事をするといって、「一生不犯」の僧を選んで講会を行った、と。

この「不犯」というのは僧が戒律を守って犯さないことを言いますが、一般には特に「女淫をしない」、一生女と寝ませんよ、ってなことを指すことが多いわけですね。

んで、その会で鐘を打とうとして高座に上った僧が、棒を振り回すだけでためらって、なかなか鐘を打とうとしないので、大納言を始め、周囲の者たちが皆不審に想い始めたあたりで、その僧は震え声で「かはつるみ はいかがでしょうか」と言ったわけです。バナナはおやつに入りますか、的な?

さてここで質問です。

か は つ る み 」って何のことでしょう。

うん、この文章まるっと入試問題に出して、「かはつるみ」に傍線引いて、読解問題として十点ぐらい配点するといいね! 絶対出ないけどね!!

 

正解:手でいたすこと。(注:こういうぼかした書き方では、入試では減点されますyo!)

 

「つるむ」が「つがう」と同じような意味で、交わるとか交尾するとか。
「かは」は…「皮」ですかね?


この生真面目なお坊さん、女性とじゃなくて手でやるのは戒律を犯すことになるのかどうか、というのが気がかりで、鐘を打つ勇気が出なかったわけですね。正直に昨夜もやりましたと答えちゃうあたり、純情すぎて、何とも可愛がってあげたいタイプです。

ってかさ、よいこの皆さんは、学校の古典の先生に「かはつるみ」っていう古文単語はどういう意味なんですか、とか質問しにいっちゃ駄目ですよ。駄目ですったら。
まじめに、異性の先生だとセクハラにしかなりませんからね!

 

ちなみにワタシ、twitterbotのネタで、ちょっと前から「かはつるみ」って言葉の意味は知ってたんですが、実際その言葉にぶちあたってちょっと嬉しかったっす。

twitter.com

…なんかアレですね、私がすごく下ネタ好きな人間みたいでアレですが。
そりゃ好きじゃないわけじゃないですけどね。
タイトルにも「その2」とかついてますよね。本気で探し続けるつもりなんでしょうかね。
分かりませんけどね。