ふること

多分、古典文学について語ります

嫉妬のかたち2-2~六条御息所が源氏と別れ、死ぬまでの心理

今回は、光源氏と六条御息所との別れから、その後御息所が亡くなるまでの、六条御息所の心理を追ってみようと思います。 賢木~野の宮での別れ さて、いよいよ六条御息所が、源氏との仲を諦めて伊勢に下ることにした後。源氏は「つらき者に思ひ果てたまひな…

嫉妬のかたち・2-1~光源氏と六条御息所の関係

源氏物語で嫉妬というと六条御息所、って感じですね。嫉妬のあまり生霊になり、かつ死霊としても彷徨ってしまったという彼女。 とりあえず、六条御息所と光源氏の関係について、原典での描写を拾ってみます。 夕顔 原典では、まず夕顔の巻の冒頭に「六条わた…

嫉妬のかたち~葵の上と、紫の上・雲居雁の比較

光源氏が、紫の上の嫉妬については「そういうところが可愛い」的にプラス評価をしていた…ということを書きました。 しかし、光源氏は、他の女たちの嫉妬についてはどう考えていたのか?について。 大殿の上(葵の上)と六条御息所について、嫉妬に関する記述…

雲居の雁と紫の上の共通点・最終回(2-3)。嫉妬プレイで倦怠期打破!

紫の上と雲居雁の共通要素、その3! 8,嫉妬深いところが愛嬌である、と描かれていること 紫の上については、「澪標」で明石の女の話を光源氏が紫の上に語る場面で、紫の上が不愉快さを隠せないでいるあたりの場面。 いとおほどかにうつくしうたをやぎたまへ…

雲居の雁と紫の上の話の続き(2-2)をしつつ、藤原道隆の三の君の話。

源氏物語、雲居雁と紫の上には共通点が多い…という話のつづきだよ。 6.男女のことをそんなによく分かっていない無邪気なうちに、男と関係を持つに至ったこと これはま~なんていうか、当たり前っていうか。高貴な姫君だもん、無邪気じゃなきゃいけないんです…

雲居の雁の話(2)。主に紫の上との共通点について

前回、 紫式部が、「高貴な姫君だけれど、親ではなく自分で好きになった相手と、合意の上で関係を持つことで恋愛が始まる」というなかなか王朝物語の姫君では成り立ちにくいシチュエーションを、細かい設定を積み重ねることによって成り立たせて、その上でで…

誰もが源氏クンのように鏡にうっとり見惚れてるわけじゃない、と思う話。

いや…雲居の雁と夕霧の夫婦喧嘩のあたりを見返してて、どうしてもツッコミたくなったってだけなんですが。突っ込みたい部分のちょっと前の場面から「夕霧」の巻をみていくと。 夕霧が落葉宮相手に浮気騒動を起こし、浮気された雲居の雁はもちろんとして、落…

実は源氏物語の裏ヒロイン?! 雲居の雁の話(1)

<承前> 物語の姫君は、奥深く暮らして男に顔も見せないという「姫君の生態」上、どうしても恋愛の始まりには 宮中での出会い(姉妹等が宮中にいて、そこに遊びに行った時の出会い等。花散里・朧月夜パターン)。 男が忍び込んで関係を無理強いする のどちら…

物語の姫君との恋愛は「同意のない性行為」で始まらざるを得ないのか

…あんまりなタイトルですけど、でも気になりませんか。王朝物語において、姫君との恋愛の始まりって、たいてい「ゴーカン」じゃありませんか、って。 もちろん、最初は和歌のやり取りで始まり、訪問するうち、簀子→廂の間→御簾の内とか、徐々に近づいていっ…

元朝秘史がとてつもなく腐女子的萌えコンテンツな話

元朝秘史というのはアレです、チンギス・カンの一代記で、井上靖の「蒼き狼」とかの元ネタの一つになってる古典です。訳本がいくつかあるんですが、お勧めは岩波文庫「元朝秘史」上下・小澤重男さん訳のもの。他、東洋文庫「モンゴル秘史」(村上正二さん訳…

「有明の月」中世王朝物語・男女逆転ヒロインの覗き趣味とは一体

Twitterで呟いたり何だりしてたことなんですが。有名な男女逆転物語である「とりかへばや」物語を、最近ようやくまともに読み直してみたら、意外なほど面白かった…というのをきっかけに、古典文学から現代に至るまで、日本文化で一ジャンルとして確立してい…

なんか帝の後宮ってユルくない?と思った話。

「後宮」っていうと。 中国の後宮なんかは、男子禁制で宦官しかいないわけじゃないですか。 日本でも、将軍の後宮、つまり大奥は女人しかいませんよね。 そういうのって、やはり「後宮の女性の浮気対策」「王、皇帝、将軍などの、後宮のあるじの子ではない子…

なんで光源氏は朝顔に「過去の肉体関係」を仄めかし続けるのか?!

源氏物語を読んでいて、いまだに不思議で仕方がないことの一つが、光源氏と朝顔斎院の関係。彼らの馴れ初めはそもそも直接的には語られていません。 初出は「帚木」の巻で空蝉が住む邸(紀伊守の邸)で女房たちが光源氏の噂話をしていた時に、「式部卿宮の姫…

夫に新しい妻ができた時@源氏物語

源氏物語の中には、こういうシチュエーションは何度か出てくるわけですが、女君それぞれで取る態度が結構違います。 以下、軽く並べて見ていきます。 ---------- 弘徽殿の女御 ライバル:桐壺更衣(身分下)、藤壺宮(身分上)など 相手が帝なので状況が特殊…

落窪物語にびっくりした話

落窪物語というと、ひどい継子いじめに合っている姫君が、恋人になった貴公子に助け出されて妻になり、ハッピーエンド…というシンデレラストーリーで、マンガになったり小説化もされているし、わりあい古典の中ではメジャーな方に属する物語かな?と思います…

藤壺宮は源氏の「理想の女」ではないのか?

承前。 「素直で自分の言うことには従い、ひかえめで、自分の思うように仕立て上げられる女」という一面での源氏の理想は、源氏の理想の女性であるはずの藤壺宮のキャライメ―ジとはいささか異なっているように思います。 藤壺の性格については、たとえば「帚…

光源氏が語る「理想の女」は「自分に素直に従い、思い通りになる女」

光源氏の女の趣味というと。父のきさきである藤壺宮への道ならぬ恋から、藤壺の姪にあたり、面影が似ている若紫をさらってきて自分の思い通りに育てて妻にした…というあたりを中心に語られることが多いのですが。 そういう源氏くんの女の趣味について、「夕…

光源氏はロリコンではない。ただ病的にナルシストなだけだ。

中学生だか高校生だかぐらいのとき。 川原泉のマンガだったかな。古典の授業で「源氏物語」を学んだ主人公とその友人たちが、光源氏を「年端のいかない女の子を誘拐した挙句、今でいえば中学2年生の女の子を無理やり襲った犯罪者」みたいなレポートを書いて…

古典文学に読みふけっている件

コロナ禍も関連しているのか、今年は何だかやたらと本が読みたくなることが多く、ジャパン・ナレッジに入会してみてウェブで古典文学などを読み漁るようになった。 その感想をFacebookに書きつつ「古典ブログでも作ろうか」と誘い受けなことをつぶやいてみた…